1級?2級?遮光カーテンの特徴を理解して、お部屋の環境を快適に

朝の寒さや暑さ、太陽の光に起こされずにぐっすりと眠りたい。

室内のエアコンの効率を良くしたい。

そのような希望を叶えてくれるのが、「遮光カーテン」です。

今回は、その遮光カーテンの生地や性能について下記の4つをご紹介いたします。

 

①遮光カーテンとは?


そもそも、遮光カーテンとは一体どんな生地なのかご説明いたします。

一般社団法人日本インテリア協会によると、下記のように定義付けられています。

「光を遮って室内を暗くするためのカーテン。 よこ(緯)糸に黒糸を織り込んだもの、生地(ファブリック)裏に合成樹脂をラミネートしたもの、縫製で裏地を付けたものなどがある。」

一般的には、黒い糸を織り込んで光を遮るというカーテンが多いですが、
写真のような合成樹脂を裏面にラミネートした商品や、通常のカーテン生地の裏にもう1枚生地を縫製して分厚くしたカーテンもあります。

↑裏に樹脂加工をしたカーテン ↑裏地の縫製カーテン

もし、非遮光生地で気に入った柄や色のカーテンが見つかった場合に裏地縫製を検討することも可能です♩

②遮光カーテンの等級について

遮光カーテンは、「カーテンの遮光性能試験方法」(JIS L 1055)A法(照度計を用いる方法)によって測定し、遮光率99.40%以上を「遮光」の適合品として定められています。

遮光率による等級の区分けと見え方は、下記のように分類されています。

「遮光1級」99.99%以上       「人の顔の表情が認識できないレベル」
「遮光2級」99.80%以上99.99%未満 「人の顔あるいは表情がわかるレベル」
「遮光3級」99.40%以上99.80%未満 「人の表情はわかるが事務作業には暗いレベル」

JISにより厳密に遮光率試験をしていますが、人の視覚は非常に感覚が鋭いため
遮光1級においても見え方に差が出る場合があります。
そこで、日本インテリアファブリックス協会は2018年よりその差を埋めるために遮光1級をさらに5段階に細分化しました。


「NIF(日本インテリアファブリックス協会)法」(特許 第5437308号)に基づく「遮光カーテンの遮光評価方法」

ポイントは、従来の照度計での試験ではなく人の目で実際の状況を考慮し決定しているということです。
目視による度合いで「遮光1級A + +」、「遮光1級A +」、「遮光1級A」、「遮光1級B」「遮光1級C」という5段階に分類されているのです。

最上級の「遮光1級A++」はラミネートコートのような特殊なカーテン以外は取得が難しく一般的なものでは「遮光1級A+」や「遮光1級A」が最上位になります。

ただ、遮光1級のカーテンすべてにおいて細分化されているということではありませんので一つの目安となります。

同じ等級の生地であっても、明るい色の方が遮光率が下がり、濃い色の方が遮光性はしっかりしている場合が多いです。
見え方に個人差はありますが、こちらもカーテンを選ぶ一判断基準とすることができます。

③遮光カーテンの省エネ効果について

家庭で使われているエネルギーの約25%がエアコンで消費されています。
住宅における窓は、採光・日射・通風・換気・眺望などの役割がありますが、
1年を通して快適な住環境を確保するために、エコ対策が求められています。

夏においては、昼間の冷房中、建物内に入り込む熱量の71%が開口部から入ることが分かっています。
冬には、熱量の48%が開口部から外へ流れてしまっています。
これを防ぐために、カーテンでの省エネがとても重要となります。

遮光カーテンは、光を防ぐために折り目が詰まっている作りになっているため
遮光でないカーテンに比べ断熱性が高くなっています。

カーテンなしの室内と、リビンルームの窓4面に遮光1級のカーテンをつけた室内とを比較した結果が下記です。
(カーテンメーカースミノエ㈱の実験LESCOM-suminoeによる)

【暖房効率】 ※暖房期間10/28~4/14(20℃の温度設定)カーテン開閉時間7時~17時

<カーテンなしの場合>  <カーテンありの場合 遮光1級の生地での比較>
消費電力:349kWh     消費電力量:315kWh(-34kWh)
電気料金:9,423円     電気料金:8,505円(‐918円)
CO2排出量:130.18㎏    CO2排出量:117.5㎏(-12.68㎏)

【冷房効率】 ※冷房期間6/2~9/21(27℃の温度設定)カーテン開閉時間終日閉める

<カーテンなしの場合>   <カーテンありの場合 遮光1級の生地での比較>
消費電力:941kWh     消費電力量:753kWh(-188kWh)
電気料金:25,407円    電気料金:20,331円(-5,076円)
CO2排出量:350.99㎏    CO2排出量:280.87㎏(-70.12㎏)

冬場は、開口部から熱の流出を防ぎ、室温の低下を抑えます。
反対に夏の日中は、開口部からの熱の流入を防いで室温の上昇を抑えます。
※生地により差はあります。

遮光カーテンをつけることで、室内のエアコン効率は確実に良くなります。
また、さらに効果を高めたい!という方は、レースも遮熱・ミラーレース加工のあるものを選択したり、
カーテンの裾を長くし床から裾までの隙間を無したりなどの工夫をすることにより、空気の流入出を抑えることができます。

④遮光カーテンのメリット・デメリットについて

<メリット>

★睡眠の質UP!

遮光でないカーテンの場合、街灯や太陽の光をしっかりと通すものが多いです。
睡眠前や睡眠中に光を浴びると脳内でメラトニンの働きを抑制し、睡眠・覚醒リズムを崩してしまいます。
遮光カーテンは、そういった外の光を遮ってくれるため、睡眠の質の向上に欠かせないアイテムといえるでしょう。
夜ぐっすり眠りたい方や夜勤で日中に眠る方は、遮光1級の遮光率99.99%以上をおススメします!

★省エネ効果

上記にもありますように、遮光カーテンで冷暖房の効率が良くなり、節約にも繋がります。
遮光カーテンは分厚く、日の光を遮るだけでなく断熱効果が高い作りとなっています。
そのため、室内の温度の上昇・低下を防ぐことで快適な住環境が期待できます♪

★床や家具の日焼け防止

通常のカーテンに比べて遮光カーテンは、光を遮ることに加え、遮熱効果も高まります。
紫外線は太陽光の中にも含まれていますので、それを遮ることによりフローリング、家具、本などの日焼けを防いでくれます。

★プライバシーを守ることができる

生地が分厚く黒い糸が織り込まれている特徴から、室内の人影を映しにくいという効果があります。

全ての遮光カーテンにおいて一概に同じ効果ではありませんが、駐車場や近隣の住宅からの視線を避けることができるので安心です。
また、家にいる人数や帰宅時間を悟られたくない方にもおススメです。

 

<デメリット>

★眠りすぎてしまうことも!

遮光カーテンで光を遮っていると、特に遮光1級の場合は日中でもカーテンの上下左右の隙間以外からはほぼ光が入りません。
朝、なかなか起きられないという可能性も。
特にお子様のお部屋など、自然光で目覚めて欲しいという方には、遮光3級以下をおススメします。

★生地が分厚い

遮光カーテンは黒い糸を織り込んでいるため、生地が分厚くなっています。
天然素材のように、ふんわりとした質感というよりも、しっかりとした生地感が特徴です。
そのため、リネン生地のような風通しやさらっとした雰囲気を出したい場合には不向きな生地です。

★色や柄が限られる場合も

一般的に、遮光カーテンでない商品の方が数としては多く販売されています。
そのため、遮光に認定されているカーテンで明るい色や柄の商品が少ないと感じる場合もあるかもしれません。

まとめ

遮光カーテンとは、光を遮って室内を暗くするためのカーテンのことで、
よこ(緯)糸に黒糸を織り込んだもの、生地(ファブリック)裏に合成樹脂をラミネートしたもの、縫製で裏地を付けたものなどがあります。

遮光カーテンを使用することで冷暖房効率、睡眠の質の向上や、インテリアやプライバシーの保守が期待できます。
ただし、生地感の好みやお部屋の状況によって、非遮光の生地を選択したり遮光の等級を使い分けたりすることが重要です♩

出典

一般社団法人日本インテリア協会
アスワン株式会社
株式会社スミノエ
資源エネルギー庁
日本建材・住宅設備産業協会
厚生労働省Eヘルスネット
株式会社サンゲツ